スキッパーキサムはハアハア喘ぎはじめる。
まさかと思うけれど、暑いのだろうか?
目を合わせサムに問いかける。暑いの?サムは言葉の意味を図ろうとして目を合わせ口を閉じ、じっと見て耳をそばだて、可愛らしく首をくいっと返事でもするかのように傾け一生懸命考える。
しかし見つめ合ってしばらくすると表情を崩すようにハアハアしはじめる。
暑いらしい。呼吸が乱れるぐらいとても暑いようだ。
何でだろう。車内設定温度は決して高くない。
寧ろサムに合わせているので、本来ならば丁度良いはずなのだが暑いらしい。
今まで冬のお出かけ時にスキッパーキが暑がることはなかったように思う。
季節の変わり目でぽかぽかしているならばわかるのだが、今は冬も冬。冬真っ只中で、陽射しも強くなく、気温も高いわけではない。車内もそれほど暑くないはずではあるが、考えてもサムがハアハアと喘いでいる事それが現実だ。
一気に室温を下げるのならば窓を開けて、外気を取り込んだほうが早いので、エアコンの温度設定を変える前の応急処置として、窓を少し開けてみた。
開けた途端、外の冷たい空気が容赦なく入ってくる。すると、サムはその風を気持ちよさそうに受けている。
サムは風に当たる事自体は好きでな無い。
おそらく小さい頃の遊びに行ったドッグランで、暑かったから他のワンコのお父さんが親切心で霧吹き状の水を暑そうだからかけてくれ、仰がれた事がトラウマになっているらしい。
残念なことにワンコのお父さんは大型犬の飼い主でしかも水大好き犬種だったので、同じようにサムが喜ぶだろうと思ってくれていたのだろうが、サムにとっては余計なことだった。
犬種の特徴様々だ。
もともとあまり好きではなかったのだろうがそれ以降、扇風機、扇子などでの人工的な顔に直接当たる風はあからさまに避けるし、好きではないというリアクションを取るようになった。
顔は大事。探知器官集中しているものね。
にもかかわらず、サムの顔に風があたっているのに気にせずにいる。
自然だから受け入れるのだろうか?サムは穏やかな表情になり、あっというまに普通に呼吸しはじめる。
そんなサムに対し体が冷えてたまらなく寒い。もう限界と窓を閉めれば、時間を置かずスキッパーキはハアハアと息を乱してしまう。
何故こんな事になったのだろう?去年と何が違う?この様なことは今までなかった。
遅まきながらスキッパーキ本来の成犬の体になったという事なのだろうか?
年齢的なことより実態は時間はかかっているがやっと体ができあがってきたという事だろうか?
フードファイト激戦を繰り広げていた時はどちらかと言えば食べるカロリーよりも運動で失うカロリーが多いのではないのかと思うぐらいスリムだった。
だが何年も何年も毎日毎食フードファイトを繰り返す日々で、フィードファイトをする事に慣れと食べる食べないという境目の妥協案を見出したので、食事を全く口にしないと言うことは殆どなくなっている。
調子がいい時には完食だってするようになった。
激戦時とは比べようもないくらい食べれるようになったサムの体型もいつしかスリムを脱した。
日々日常での運動量はまあまああるのではないかと思う。
少し前までサムが体をおかしくするまで、一日に何往復も階段を上り下りはするわ、一緒に激しい?遊びはするわ、朝夕お約束事の散歩は一回最低一時間以上。それ以外にもちょこまかと体を動かしていた。
遊びに行ったらそれは嬉しそうに一緒にどこへでも付き合ってくれるスキッパーキが楽しくて、いろいろと行くので、運動不足解消の良きパートナーのスキッパーキ以上の働きで傍にいてくれた。
そんなこんな積み重ねの日々を過ごし食べることで体力もついて体が大分しっかりしてきたとのだと思う。
また、スキッパーキという犬種の特徴の首周りの毛もいつの間にかふんわりと多くなった。
サムは遅咲きだとブリーダーに言われたが、確かにここにきて首周りのボリュームが違ってきたようだ。
スキッパーキの特徴のふんわりとした首周り、細い足、小さなお尻だが、いい感じの細マッチョ。
多くの犬族はきれいな筋肉のマッチョさんだ。
思い返せばボクサーのジョンは素晴らしいボディだった。
もともとボクサーという犬種はそれはそれは美しい引き締まった筋肉ボディの優雅で力強い体型。短毛だから美しいボディと毛並みは一目瞭然。
それに比べ長毛種は見た目と実際がよくわからない。
毛がふっさふさしているから、ガッチリしているのかと思えばオーストラリアンラブラドゥードルは触ったら想像していたより華奢でラブラドールレトリバーと同じ様な体型だと思っていたので意外だった。
スキッパーキは丁度あいだの短中毛種。微妙にボディラインが分かるという感じだ。
どの種族も美しいが犬族も類にもれず美しい筋肉と骨格を持った種族だと感心する。
体温もヒトよりは高いし、毛皮を来ているからなおさら暑さには弱いのだろう。
筋肉もあれば余計に暑く感じるからということだろうか。サムが暑がる理由は。
いい事なのだと思いたいのだが、如何せんサムの快適に合わせるとかなり辛いものがある。キビシイ。