方向変換お宿チョイス

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スキッパーキサムと前々からとても興味があって訪ねてみたいとは思ってはいたけれど、ドッグランが芝でないことから、訪ねることがなかったホテルに向かっている。

少し前まで、「広い」「芝」のドッグランに拘っていたので、ウッドチップだからと選択肢から外していたホテル。
ウッドチップは足が汚れない、優しいと言われるが、誰にでも好みがある。

サムの様子を見ているとウッドチップも砂も嫌いではないのだろうが、特別好きというわけでもなさそうだったので、緑がとても気持ちがいい上に衝撃もすくないことから体に一番優しいであろう芝のドッグランがあるところをチョイスしていた。

広いドッグランに拘っていたけれども、大型犬であれば、同じ距離を走るにしても、歩数、到達時間が小型犬とは全く違うし、スプリンターの犬種であれば広さも必要だが、所詮は小型犬のスキッパーキ、スプリンターでもなければ小回りもきく。
何よりも、身体能力の高い犬族はきちんと距離、空間を図ることができ、その時の状況によって上手にコントロールして走ることが出来る。


自由に遊び回って欲しいという思いだけで、サムに良かれと思って、押し付けていたに過ぎない。


必要なのは、広いドッグランでも、芝のドッグランでもなく、サムにとって楽しい場所であれば狭くとも、状況が何であろうとも良いという事にやっと気付かされた。

そうなると今まで宿選びでの条件としての広い芝のドッグランがある所と思っていた「広さ」と「芝」に拘る理由がなくなったことにより、選択肢が俄然広がった。


ドッグラン自体必須でなくても良いのかも知れないが、単純に宿泊した所で、ふらっと庭に出る様な気安さで遊べる所があるといいなと欲が出てしまい、どうしてもドッグランがある宿をと考えてしまう。

サムにしてみれば、お出かけするということは分かるけれど、どこに行くかなどは知る由もなく、一緒にいるという選択肢一択しかないのだけれど、それでもサムを見る限り一緒に出かけるのは楽しいと思っていてくれているようで、これから出かけるという雰囲気をいち早く察しウォッチャーになって成り行きを見守りつつ、お出かけする際には、先導するように玄関まで進んでくれる。

お出かけするということは、常に一緒にいるということで、全ての時間がサムと共に過ごす。散歩もいつもの朝夕に加え、立ち寄る所、訪れるところでは一緒に出歩くし、ドッグランでも遊べる。

どこに行くにも一緒に行く。それがお出かけするメリットだと思っている。そこのところを理解してくれているかどうかは定かでないのだが、サムはいつでも上手に対応してくれる。

行きたいと思う所に行けばいいだけの話であり、泊まりたいところに泊まればいいのだが、行きたいと思う所の大半は何かしら「ペット同伴」に対して制限をしているので、どうしても行く場所、宿泊出来る所がある程度絞られてしまう。


一緒にただ同じ部屋で泊まるだけであれば選り取り見取りなのだが、今はそれだけではとても満足できず、部屋という隔離された場所以外でのパブリック・スペースでもスキッパーキと一緒にいたい。

結局の所ドッグランに関しては縛りをなくしても、レストランというパブリックスペースで一緒に居たいという思いは変わらずあるので、レストランにはペット同伴不可の所が多いため、行ける宿はまだまだ多くないのが現状でもある。

そんな希望がクリアされているお宿。これから泊まるホテルのことを考えて心踊らせる。


思いが伝わっているサムは、とても楽しそうにキラキラした目で、真剣に外を見ている。共通言語を持たないから、表情をみて、見えない感情を読み解く能力が長けている種族。一説にテレパシーがあると言われているが、サムの真剣で見入る姿を見ると分かっていて見ているとしか思えない。


これから行くであろう期待の場所への道だと分かっていて、道を覚えようとしているようなウォッチドッグ。スキッパーキ。

今まではただ通り過ぎていた道も、宿に行くために通っていると思うと、周りに何があるのか、横道はどこに通じているのか、サムと散歩したら楽しいだろうかなどと考えたりするようになるから不思議なものだ。

サムと一緒に行く先の、新しい発見はいったいどの様な事だろう。


ゆっくりとホテルの駐車場に車をすすめる。はじめて足を踏み入れる所は駐車場さえも新鮮でワクワクする。
サムがどの様な反応をするのか楽しみだ。


これから先も一緒に楽しい事をしていきたいから願ってしまう。素敵なところでありますようにと。

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