薄雪

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薄雪

訪れた所は手つかずのきれいな薄雪が一面広がってた。
薄雪の真っ白いカンバスにサムの足跡が描かれていく。


静かな我々だけの空間


雪に描かれたサムの足跡は、まるで花のよう。
絵画にある梅の花のように五枚の花びらと4つの蕾がどんどんどんどん伸びて咲いていく。
製作者であるスキッパーキは休むことなく筆をはしらせる・・・もとい自由に歩いている。


とても贅沢な素晴らしい時間

新しい発見を期待してきたわけではなかったので、とても嬉しいサプライズ。

遊びに来るたび訪れる場所ではあるけれど、何でも最初はもの凄くインパクトがあるので、全てが新鮮で見るもの聞くもの歩くことが楽しい。

季節が変わると景色も変わり、とても同じところだとは思えない自然の変化を楽しみにしていたいのだが、回数を重ね季節を重ねると、期待する気持ちを上回る発見がなくなってくるので、驚きも、感動も少なくなってくるのだが、今回に関しては予想外なことだけにとても楽しい。

ほんの些細なことでも、サムと一緒だと特別に感じる。サムがいなければその場限りの、現状認識で終わってしまうだろう。
全てがサムと共にがベースにあって思うことだ。

日常では得ることが出来ない何か。ここに来なかったら得られない出来事が、後々いい思い出となってまたそこに行きたいと思うなにか。言ってしまえば、ただサムの足跡なのだが、その足跡を見つけたシチュエーションがなによりも大切だ。

いつでもどこでも、ほんの小さな事で、心象が変わる。
新しい発見の如何によって、また来たいと思う。

訪れる時、季節によって全く違うものを見せてもらうけれど、ただ見ているだけでなく、その一端に触れると世界が広がる。
スキッパーキが一緒にいることで広がった世界が、更にサムが歩むたび奥行きを持たせてくれる。

犬を飼うと言うのは想像していたよりも遥か上を行く素晴らしいことだと分かった。
スキッパーキに出会えたこと。サムが来てくれたことに事あるごと感謝するようにもなった。

ただ可愛いから愛おしいに変わり、泣きたくなるようなすれ違いから分かってくれているだろうパートナーになったサム。

時間と共により深くなっていく思い。今季はじめての雪の跡、もうすぐ終わろうとしている今年、そして他に人影もなく静かすぎる中で感慨深く振り返ってしまう。

年が押し迫ってくると、否が応でも世間は慌ただしさと華やかさに彩られるので、こうして喧騒と遠く離れた場所にスキッパーキと共にいられる事をありがたく、ゆっくりと何事もなく過ごせることに感謝したくなる。

元気で一緒に歩むサム。

元気でいてくれることが何よりも一番うれしい。起こってしまったことを後悔しても、先の不安に怯えても仕方がないと分かっているけれど、考えてしまうのは性分。何があってもサムはサム。

こうやって、何事もなく一緒に穏やかにこれからも歩んでいきたいと思っているとまっ黒犬のスキッパーキに綿のようなまっ白な雪が舞い降りてきた。

静かな別世界のような一時を過ごす時間も後少し、フィナーレを音もなく降り注ぐ雪が飾ってくれる。

薄雪の上のサムの足跡はもうすぐかき消されてしまうだろう。

静かな穏やかな時をサムと一緒に過ごし、またいつもの日常に戻る。それまでのほんの一時の慈しむ時間。

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