痛み止めの注射をここで打つので、このまま待っていて下さいと一旦注射の準備をしに診察室に先生達が戻っていった。
待合室のソファにいるスキッパーキはいつもより更に小さく見えた。
先生がわざわざサムがいる待合室に来てくださって対応して頂けたのは、きっとサムの叫び声が聞こえていたからだと思うが、サムの負担を考えて頂ける先生に感謝感激です。
暫くして、先生と看護師さんが注射を持って戻ってきてくれた。
先生がサムを問診していただいている傍らで、午前中診てもらって帰ってきてから今に至るまでの事とサムが痛がる様なので首輪も取れずにいる事を話した。
問診されている最中サムは何も言わずにじっとしている。首は痛いだろうからと足に注射を打ってもらっている時も一言も言わずおとなしくしている。
注射が終わり、話を聞いていた看護師さんがサムの首輪を取ってくれた。看護師さんの首輪のとり方がもの凄く優しかったので、同じように出来るようになりたいと思った。何よりも首輪が取れて良かった。本当に良かった。
痛み止めの注射を打ったことで暫くすれば痛みも大分収まるだろうし、首輪も取ってもらえたので首への負担も減る。
サムが看護師さんに首輪を取ってもらったことで、今迄、どれだけ首輪を取るのに気を使っていなかったのかを気づくことができた。
昔サムをトレーニングしてもらった時に、散歩の時に言うことを聞かなければスキッパーキが吹き飛ぶぐらい引っ張ると指導を受けた。
首は強いし、サムは特に強いから全力でやらないと「き・か・な・い」と言われ、凄く嫌ではあったけれど、躾として行わななければならない事で、全く問題が無い行為なのだと教えられた。
流石にサムが吹き飛ぶ様な事はできなかったが、首は丈夫で、特にサムは殊更強いという思い込みが無意識下に刷り込まれていた。
初心者だからプロを盲信した誤りなのだが、気づくことができて良かった。
家に戻りサムを下ろすとサムは伏せというのか立っている状態からそのまま潰れるように床にお腹、顔をつけた。
痛み止めの注射と変えた薬が効いているようで、サムは何も言わない。
何時ものように仰向けでも横向きでも、丸くなることもできずに「伏せ」の態勢で目を瞑っている。
辛いであろう目の前のスキッパーキから早く痛みが無くなってほしいと思った時に電話が鳴った。
誰かと思えば先生からで、診てもらってからかなりの時間が経っているにも関わらず、サムのことを心配してくださり、連絡を頂いた。
とてもありがたく嬉しかった。こんなにいい先生に今まで会ったことがない。先生に感謝しつつサムが早く良くなることを願った。
先生から、絶対安静と言われている。首に負担がかかることは禁止。当然階段の上り下り(サムにその気力体力は無いが)、食事も首に負担をかけない高さでする。
散歩禁止なのだが、悲しいかなサムは家の中で排出することは無いので、可愛そうなだが禁止事項の一つだけれどトイレタイムという事で少しだけ外に連れ出すことはした。
首、体に負担がかからない高さでの飲食が出来るように、今まで使っていたものより少し高さがあるものを速攻買い揃えたのだが、食べやすいのかどうなのかよくわからない。
首の負担を考えるとハーネスの方が良いのではないのかと考えたりもするが、何度も挑戦してみるも無理なので、首輪も少し大きめにしてとりやすいものも用意した。
あのサムの姿、叫び声を二度と見ることなく耳にすることないよう願った。