黄昏

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黄昏

サムと訪れたところは、なんとなくいつもと違う。

何が違うかすぐには分からなかったのだが、あるはずのものが無い。そんな感じだったのだが、それが、少し前までは木々が葉に覆い尽くされ木陰を作っていたのに、今はその葉がなくなっていた事で、少し幻想的に見えるのだと気がついた。大きな木はいつでもその存在感が特別だと感じる。

などと思っていることなど関係なく、足元で全く変わらずいつもどおりの通常運転スキッパーキは何も気にしないで散歩と探検を楽しんでいる。

いつもどおりの楽しげなサム。それが一番。何と言ってもサムと楽しむために来たのだから。

同じ場所に来ても、その時その時で変わる思いがあるからこそ楽しい。

前に来たことのあるドッグランであっても、同じワンコに遭うことはほとんど無い。だから、その時々で一緒にいるワンコ達とのコミュニケーションを見ているとサムの様子は手にとるようにわかる。

体格差、相性、何を一番にしているかで、それぞれの個性が見えるドッグランは面白い。

日常と違う世界。

たまにのことだから、何でも楽しく思える。そしてサムが来てから今まで気にもしなかったことに目が行くようにもなった。

サムを、サムの姿を見ていたい、サムがとる行動を覚えていたいと思うから気がつくようになったのかもしれない。

夏場は暑さ、日差しの強さで楽しむことが少ないが、冬場はそんな問題もなくなり、楽しく過ごせるので欲張りになる。

そしてこの時期の木々は落葉しているものも多く、先程感じた違和感の元。木の葉がなくなったことにより、木の状態がひと目でわかり、枝と幹が一見すると寂しい感じにも思えるのに、もの凄く幻想的に見える季節でもあることを知った。サムがいればこそ気がつくサムの背景。

日が沈む頃と、朝日が登る時間帯。「トワイライト」

トワイライトは「Twice Light」で「月」と「太陽」の2つが見える時だと聞いたことがある。

遊びに来たときにしか味わえないトワイライトは夕日や朝日の差し込む明かりが木々の間、葉がないので伸びた枝の間から見える景色が美しい。

切り絵、影絵の様な世界。真っ黒なスキッパーキは絵の一部となっている。

親馬鹿犬ばかサムバカだから、サムが何をしていようと良く見える。親の欲目。

夕暮れ時は太陽が山吹色のような濃い黄色に輝き、地平線へかけて落ち着いたオレンジへとグラデーションが広がり大地はシルエット化し、そのシルエットの一つにサムがいる。

明け方ははっきり色が分かる大地と明るい黄色っぽい太陽と太陽を取り囲む上方は赤みが強い薄いオレンジとを背景に行動を開始しているスキッパーキ。

サムがいなければ立ち止まって見ることもない景色を堪能できる季節。

また見たい。サムと一緒に歩きたいと思う。

そう一緒ならばどこでも楽しい。

ただし、スキッパーキがドッグランに遊びに来た他のワンコに興味を示して挨拶に行ってしまい置いてきぼりをされなければの話だ。

サムー一緒に黄昏れようよ!カムバック、サムバック。

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