常に迷いと後悔と不安がついて回る。スキッパーキの食事タイム。
サムが食べるかどうか考えないでサムのごはんを用意した事は一度たりとて無い。
誰に何を言われるわけではない。だが、このスキッパーキの食べなさっぷりは尋常ではない。全て飼い主が悪いのだ。馬鹿だ。
サムがスキッパーキのサムが食べないのは育て方に問題があったのではないのかと苛まれる。
悩んだもう大分悩んでいた。解決出来ずストレスはお互い溜まっていく。
サムは食べ物ををねだることは無い。サムは本当に食べたくないのか?
人が食べていているのを見るも、自分にそのものが回って来ることは無いと知っているので、「ねだる」事もせず、関係ないとばかりに伏せる。
ボクサーのジョンならば、絶対側を離れず、食べるところを凝視して、ヨダレを流すだろう。頂戴をする犬も多いだろう。だがそう言うことをサムは一切しない。
諦めている様に見える。その事も気になってきた。
その時に答えが見つかった。
サムの事を食べない原因を探し求め、サムの行動、様子をよく見る様になったから、少しはサムを理解出来るようになったから、答えが見つかったのかも知れないと思った。
「犬が『食べる』と言う行為の全てが決まる要因がある」
それは、
「この世に生を受けて『数日間』で『食に対する姿勢』が決まる」
という事だ。
たった数日。2、3日。それですべてが決まる。
「生後何日間でそこ子の置かれた状況によって食べるか食べないか、食に対して執着を持つか持たないかの全てが決まる」
普通、産まれてすぐに母犬のお乳を飲む。たらふく飲む。満足するまで飲む。満足して寝る。だから、食べる(お乳を飲む)と言うことは美味しい。楽しい好きなことなのだとインプットされる。
そういう仔犬は何でもよく食べる。食べることが楽しくて、好きな上に満足感を得るという事が刷り込まれているので、食べ物イコール楽しい。好き。ポジティブ。
それに対して満足にお乳をもらえなかった仔犬は、常にお腹が空いている。
お乳飲みたいのに飲めない。飲まさせてもらえない。飲むことが出来ない。満足することは無い。寝たいけれどお腹空いてぐっすり寝る事も出来ない。楽しくないとなる。
そして、お乳をいっぱい飲むことが出来ない現実。満腹になって寝る事が出来ない現状を受け入れ諦める。食べ物イコール楽しくない。ネガティブ。