北温泉旅館のご主人に世話になる

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北温泉旅館のご主人に世話になる

北温泉旅館の親切に対応してくださっているご主人に、さらなる質問と御願いをしてしまった。
駐車場にスキッパーキのサムと戻らねばどうする事も出来ないのだ。
何といっても、ちょっと散歩を楽しむ。だけのはずだったので、軽装な上、お金もそんなに持っていない。車に荷物を置いてきている。まさか、観光地で遭難もどきに遭うとは思ってもいなかったから。
陽も大分傾いてきている。どうにかして車に戻らねばならない。

そこで、「タクシーなんとかなりませんか?」とお願いしてしまった。
いろいろと話をして頂いて、ここには流しのタクシーはあり得ないという事だったので、ずうずうずしく、厚かましさにも程があると思うが、なにせ必死なのだ。
そしてご主人快く色々なタクシー会社に連絡取ってくれたのだ。だけど意外と来てくれるタクシーが無く、何件も何件もかけてくれた。
申し訳ないなと思いながら、電話をかけ続けてくれているご主人に心の中で感謝しながら吉報を待っていた。
そして手配できるところがあったと。ご主人が電話で話しながら伝えてくれた。良かった。ホッとしたが、まだそれで終わりではない。交渉中のご主人に此処からさらなる御願いを言う。「スキッパーキという小型犬」を一緒に乗せてもらえませんか?と、再度、ご主人は電話向こうの人と交渉をして下さる。最初は断られた様だが、暫くやり取りか続き、本当に申し訳ないほど頑張ってくださって交渉してくれたのだが、規則でケージに入っていれば乗せられなくも無いが、無ければ駄目だと。
此処のタクシーが最後の綱。何としてもタクシーに乗せてもらわないと困る。それなので人間だけと言う事で来てもらえることになった。良かった。

本当に北温泉旅館さんが無かったら、ご主人が素晴らしい人でなかったら、どうなっていたか。正に「露頭に迷う」だ。これほど、人に親切にしてもらえる事など今迄無かった気がする。このような状況なのに物凄く幸せを感じた。胸が熱くなった。
サムは入り口の外で大人しく待っている。状況を理解している様だ。

突然侵入して悲痛な叫びをあげ、次から次と言いたい放題言い、電話をあちこちかけさせられ、その上注文つける。とんでもない迷惑な来客だったと思う。
北温泉旅館のご主人様本当にありがとうございます。絶対恩は忘れません。です。
散々一方的なお願だけしたのに、タクシーが来るまで上がって休んでいきなさいって、更に親切にして下さってありがたい限りです。
でも、スキッパーキのサムがいるので、と遠慮すると。犬を中に入れるのは、猫がいるからだめかなって。姿は見ていないけれど、猫が同居しているんだ。
そして、北温泉旅館の前まで車は入れないので北温泉の入り口まで歩いて行ってそこでタクシーを待つ様教えてもらい。外に出た。

玄関先までご主人が見送ってくれて、サムと共に挨拶をし、入り口まで、ゆっくり歩いて行く事にした。
北温泉旅館は山間の一軒宿なんだ。周りは緑、山で囲まれている。のどかな雰囲気。
入り口までの一本道をスキッパーキサムと歩く。サムは疲れた様子もなく、相変わらずの真っ直ぐな瞳で見返してくれ、元気よく普段通りに歩みを進める。大した子だよね。スキッパーキサム。

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