山越えの末、北温泉に辿り着く

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山越えの末、北温泉に辿り着く

今迄と全く違う観光地の滝壺を見に行くような足元。湿り気を帯びた道をになり、先程とはまた違う足場の悪い段差があり、滑りやすい道になった。歩きながら、どうか人が居ますように、民家がありますようにと願いながら降りていた。水音は更に大きくなってきたのだが、落ちている音なのか流れている音なのか判別できないまま、降り続けた。スキッパーキのサムは水音やその他興味があるのかどうか分からないが、慎重に足を運んでいる。

やっと視界が開けた。今どこにいるのか全く分からない。周りを見回し、人を探した。
目の前には舗装された川。堤防なのか、上流側にはコンクリートで作られた階段状の所を水が流れ、さながら小さな滝の様だった。水音はここの川からだった。川の手前には人が住んでいる気配が無い。あちら側。川の向こうに家が見えた。川を渡り家の所まで行けば人が居る。そう思うと少しほっとした。
既に日は傾き始めている。予定では遊歩道3本を楽しみ、スキッパーキのサムとドッグランで遊んで満足した所で、ゴンドラに乗って山を下り、今は宿でくつろいでいるはずだった。
それが、未だに、何処にいるのかさえ分からず彷徨っている。焦る気持ちがあった。
ともかく早く車を置いてある駐車場まで戻らねばならない。そう思い、ぽつんと見える一軒の家を目指して歩いた。

近づくと、どうやら家の裏手の様で、かなり大きなお宅の様だが、人影が全く見えない。凄い広いまるでプールの様なものがちらりと見えた。近づくと、プールではなく、趣のある大きな露天風呂だと分った。凄く広い。滑り台もある。やはりプールか?という事は民家では無く旅館?この大きな露天温泉入れたら物凄く気持ちいいだろうなぁと思いながら入り口に回り込んだ。本来通らないであろう裏手からなので建物がどの様なものか良く分からなかったのだ。入り口に提灯が吊るされている。数段の階段の先に引き戸の入り口がある。
思い切って、階段を登り引き戸を開けた。誰もいない様に見える。昔からある。ザ、旅館!立派な木の建物。すみませーん。声をかけてみる。シーンとしている。恥ずかしいとかは無い。今何処にいるのか認識しなくてはならない。そして駐車場に戻らねばならない。その事だけで、「すみませーん。道に迷いました!助けて下さい!」と叫ぶ様に声を振り絞った。暫くすると、背の高い法被を着た男性が来てくれた。どうやら受付、もとい帳場は上がった先の様だった。

ここに来た経緯をざっくり話し、戻るにはどうしたらいいのか助けを求めた。
ここは北温泉で、ここからゴンドラ乗り場の駐車場までは、すぐそこで歩いて行くという距離では無く、山を越えた反対側だと教えてもらった。
何と山越えしていたのか。そして年に2、3組同じ様に迷ってくる人がいると。辿り着く人は若い人達らしいが、年に数組でも同じように迷う人がいるのであれば、それは対策を取るべきじゃないのか、危ない事じゃ無いか、道標、案内板が分かる様にあれば、このような事が起こらないのではないのか?迷うもとになった、あるべきはずの案内板が無かった事がすべての原因ではないのかと憤りを感じたが、今はそれどころではない。

そうやって時折こちらの北温泉に辿り着くとは・・・同じようなルートを通ってきているのか?その中でも、犬連れは初めてらしい。そんな事当たり前か。
まさか、遭難もどきの目に合うとは思ってもいなかったし。サムがスキッパーキだからこそ山越え出来たわけだから。本当は散歩して、ドッグランで遊んで、ゴンドラ乗って帰るそれだけだったのにな。

今は車の場所まで戻る手段を何とかせねばならない。山を越えたとは言え、平地だったら駐車場まで歩いて行けるかと思っていたが、山向こうで、軽く歩いていける距離ではない事を教えてもらい、驚いた。まさか、そんなに遠いとは思っていなかった。
また、新たな問題にぶつかった。どうやって駐車場迄戻る?

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