台風が去った後の散歩

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台風が去った後の散歩

台風が通り過ぎて行き、やっと普通にサムと散歩をすることができた。

空は青空だが、風はまだ強い。

歩いていると、街路樹の所でものが落ちるような音が聞こえた。

サムがいち早く音や動きに反応していたので、サムの視線を辿ると、そこには1羽の鳩がいた。

サムが気づいたから鳩の存在がわかったが、どういう状況なのか、何が起こったのか分からなかった。それは鳩も同じ様で、よく例えで言う「鳩が豆鉄砲を食らったような」状態で、キョトンとしていた。

普段ではあまり遭遇するようなことがない事が、激しい台風が去った後にはあるものだ。

そして、その時には何故かいつも散歩をするところではない方へ足を向けた。

サムは決して文句を言わないから、どこへでも大概はテッテクテッテクいつも通りサッサと歩いて散歩を続ける。

サムがパピーで散歩するようになった頃に歩いた所を久しぶりに見てみたいと何故か思ったのだ。

今の散歩コースとは逆の方向で、最近は滅多に行かない。

なんとなく、行ってみようとサムと方向転換して歩いてみた。

それほど昔ではないのだけれど、ほとんど通らないところなので、懐かしいぐらいの思いさえ感じながら歩く。

サムは覚えているのか分からないが、この辺を散歩していた時は、サムはチビちゃんで、お互い何もかもおぼつかない中での散歩だった。

公園に足を踏み入れるだけでも冒険している様な感じだった。

公園は特に何もなく、朝は近所の方がラジオ体操をする程度の広さなのだが、何か変だ。

最初サムと公園を通ったときに思ったのだが、何がおかしいのか全くわからなかった。

何か引っかかるので、興味がなさそうなスキッパーキと一緒に公園に入って違和感の元を探した。

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スキッパーキは何か動くものや音にはいち早く反応するけれど、動かないものにはあまり反応しない。

何かおかしいと思った原因が分かった。それはも普段見ている位置のものが普通ではない違う向きになっていたのだ。

台風の強い雨と風により、公園の大きな木が一本「横倒し」になっていた。

それも、木の根っこの部分からずっぽりと抜けたように、まるで絵に書いたみたいに木が横になっている。

根本が埋まっていたであろう部分は大きな水たまりができている。

初めて見る木の横倒しの光景だった。

あまりにも現実味がないので木に近づいてみたのだが、スキッパーキは無関心。

かなり大きな木で、とても立派だったようだ。もとに戻せるのかな?

もとに戻せたらいいなと思いつつサムと公園を後にした。

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