北温泉駐車場でタクシー待ち

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北温泉駐車場でタクシー待ち

スキッパーキサムとテクテク上り坂を歩く。車が入ってこれないといった意味が分かる道だ。これは結構きつい。それに北温泉旅館から北温泉入り口までは少し距離があるといってたが、本当に距離があるようだ。もしかしたら北温泉旅館は秘湯なのかな?
若干余裕が出来てきてふと思ったりもした。

タクシーが来るまで、時間がかかる。どのくらい待てばいいのか分からないが、タクシーが来てくれるであろう入り口までのんびり行こう。と歩いていると、北温泉旅館に宿泊している方達なのか坂を下りてきている。こんにちはと挨拶してすれ違う。いいなぁ何とは無しに思う。素晴らしいご主人の人徳のお陰で荒まず前向きでいられる。

北温泉の入り口までは、そこそこ長い道が続いた。入り口に着くまでに何人もの人とすれ違った。結構来ているんだ。今日の今迄、助けてもらう時まで、北温泉旅館の事はあまり知らなかった。北温泉の名前は知っていたが、サムと一緒には泊まる事が出来ないのでスルーしていたから、どの様なお宿なのか知らなかったのだ。
お宿の事は又あらためて考える事にして、今これから直面するであろう問題を考えた。
小型犬スキッパーキとは言えゲージが無いのでタクシーに乗ることはできない。人がタクシー来たら乗り、山向こうの駐車場へ連れて行ってもらい、そこから車に乗り換えて、またこの場所に戻って来てサムをピックアップするしか他に道はない。

軽い散歩をしたという感じで入り口についた。そこはきちんと整備された駐車場だった。ここで車を止めて、皆んな北温泉旅館に行くんだ。と初めて知った。
なにせ通常ルートではない所を通って来たので、知らなかったのだ。駐車場で来るはずのタクシーを待っていた。遠くに滝が見えた。こんな不安定な状態ではなかったら、周りを散策すると楽しいだろうなと思いながら、サムと一緒に佇んでいた。

不安な思いが込み上げて来る。泣きたい思いでサムに水を飲ませ、語る。サムゥ車ずっと遠くにあるから、行って帰ってくるまで待っててね。おそらく1時間ぐらいだから。
曇りのない瞳、いつだって散歩大好き一緒にいる。だけど一緒にタクシーには乗れない。ごめんね待っててね。そうサムに語りかけた。

意味は分からなくとも感じる。犬は猿よりも、他の動物よりも表情を汲み取る能力が長けていると。だからサムには何かが伝わっているそう思った。

暫くして一台のタクシーが来た。おそらく先程北温泉旅館のご主人が連絡して下さったタクシー会社のタクシーに違いない。今近くを稼働しているタクシーは少ないと聞いていたから、来てくれるだけでもラッキーではあるのだ。
運転手さんが降りて来て、確認しながら話した。まだサムと離れ置いて行く事が辛く、先程、北温泉旅館のご主人も交渉してくれたのだが、運転手さんに再度お願いしてみた。
一緒に乗せてはもらえないだろうかと。とても大人しくて迷惑はかけないと。だが、運転手さんはゲージ若しくはシートで包むのであれば乗せられないことも無いのだが、規則なのでと、先程ご主人が交渉してくれた時と同じ答えだった。
規則だから仕方ない。犬が乗ったタクシー見たことないのはそういう事なんだよね。と、サムに別れの挨拶をしていた。

サムダメなんだよ。ご免。ごめんね。サムと離れたくない。置いていかなければならない不安。サムを残して行かねばならないという現状が、ただ、ただ悲しく悔しかった。
サムに、残して行くサムに何かあったらと、余計な事を考えて心が乱れる。そして、離れがたく語っていると、運転手さんが、その犬大人しそうだねと声をかけてくれた。
はい。大人しいです。本当に大人しいよねサム。

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